2025.11.01

優佑先生の人生を楽しく歩く vol3

船戸 優佑

今回の通信では、少し語り口を変えて、あまり医療や論文にこだわらず、私自身が医師として過ごす中で感じてきたことを、気軽にお話しできたらと思います。肩の力を抜いて読んでいただければ幸いです。

今回は「なぜ運動をしたくないのか?」というテーマについてお話しします。

私のライフワークは運動療法ですが、いざおすすめすると、少し顔をしかめる方も多いのが現実です。では、「運動をしたくない」と思ってしまうのは怠け心からなのでしょうか?実はそうではなく、人間の生存本能とも関係があるのです。

私たちの体は、森の中で狩りをしていた原始人の時代から、あまり変化していないと言われています。たとえば、塩や砂糖を美味しく感じるのは、摂取すると生き延びる確率が上がるためです。取り過ぎると生活習慣病になると分かっていてもやめられないのは、その本能の名残ですね。

運動についても同じです。原始時代、人々は食料を得るために1日15〜30kmも歩き回っていたと言われています。一方で現代人の平均は1日5kmほど。つまり、原始人は常に膨大なカロリーを消費していたわけです。しかし、狩り中心の生活では、いつ食事にありつけるか分からないため、食料がある時はできるだけ体を動かさず、エネルギーを節約することが生存に有利でした。

そのため、現代の私たちの脳も「食料があるのに体を動かすのは、生存確率を下げる行為だ」と判断してしまう傾向が残っています。つまり、満腹になるとソファに寝転がりたくなるのは、ごく自然なことなのです。

とはいえ、「生存本能だから仕方ない」と運動を諦めてしまうのは違います。実際、運動不足から生活習慣病や心疾患、脳梗塞を発症し、寝たきりになる人は少なくありません。体は本来、動かすように作られています。運動は生活習慣病や心疾患の予防だけでなく、メンタルの安定や睡眠の質の向上、さらにはがんや認知症の予防にも効果があると医学的に明らかになっています。つまり、運動は「楽しく健やかに生きるための鍵」といえるのです。

では、「運動したがらない脳」と「運動を求める体」のギャップをどう埋めるか。ここでは私なりの工夫を紹介します。

■短期的な報酬をつくる
何かを続けるには「報酬」が大切です。報酬にはすぐ得られる「短期的な報酬」と、時間をか
けて得られる「長期的な報酬」があります。運動の一般的な報酬――「健康になる」「痩せ
る」「筋肉がつく」など――は長期的な報酬にあたりますが、人間は短期的な報酬のほうが続けやすいと言われています。たとえば、仲間やトレーナーとコミュニティを作って一緒に運動すること。話しながら運動すると楽しく、あっという間に時間が過ぎますし、励まし合える仲間がいるとやる気も自然に湧いてきます。

■運動の「短期的な気持ちよさ」を感じる
運動には長期的な健康効果だけでなく、「すぐ気分がよくなる」という即効性があります。運動すると脳内でドーパミンやノルアドレナリンといった“心地よさのホルモン”が分泌され、気分が晴れやかになります。また、運動後はリラックス神経が働き、自律神経が整います。続け
ていくうちに、「運動そのものが気持ちいい」と感じられるようになり、やがて“運動しない
と気持ち悪い”という感覚になることもあります。

■頑張りすぎない
運動療法で推奨されている強度は「ややきつい」程度。ウォーキングなら少し汗ばむくらいで、会話ができるレベルが理想です。最初から頑張りすぎると続かず、怪我のリスクも高まります。むしろ“やや楽”くらいでも心疾患などの予防効果があることが分かっています。無理なく続けることこそが、最も大切です。

■ソファの魔力に負けない
仕事から帰って「少しだけ休もう」とソファに座ったら、気づけば1時間……そんな経験はありませんか?ソファに座るとリラックスモードに入り、「今は休むべき」と脳が指令を出してしまいます。この状態になると、もう動けなくなってしまうのです。運動したい日には、まず“座らない”工夫をしてみましょう。

私なりの「運動を続けるコツ」をご紹介しましたが、やる気を高める方法は人それぞれです。自分に合ったモチベーションの保ち方を見つけて、楽しみながら体を動かしていただければと思います。

当院の隣には、病気を治すことを目的としたフィットネス「ココフィット」があります。
ここでは、生活習慣病改善のためのメディカルフィットネス、心臓リハビリテーション、漢方の診断に基づく漢方メディカルフィットネスなどを受けられます。運動強度は強すぎず、会話を楽しみながら続けられるよう工夫されていますので、興味のある方はぜひスタッフまでお声がけください。

皆さんの人生が、より健やかで楽しみに満ちたものになることを心から願っています。

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